2008.09.27 Saturday
アニメ批評 魔法遣いに大切なこと 〜夏のソラ〜
魔法遣いに大切なこと 〜夏のソラ〜
原作:山田典枝
放送局(地上波):テレビ朝日系
総合評価:★★☆☆☆
《魔法が幻想ではなく当たり前に存在する世界》
2003年に放送されていた同名シリーズのテレビアニメ第二シリーズ。北海道の美瑛から、魔法士免許を取得するための研修を受けるために、東京の下北沢に上京してきた16歳の少女 鈴木ソラ(CV:花澤香菜)が、研修での同世代の少年少女たちとのふれあいを通して成長していく様を描いた物語です。
世界観の基本設定は、代々血統として受け継がれる魔法の資質を持った人間が当たり前のように存在しているというもの。その能力は国の機関である魔法局により管理されており、公認魔法士は魔法局を通して伝達される依頼なしには魔法行動を行うことが出来ない、ということになっています。そして、魔法の資質を持った子供は、16歳になると魔法指導員のもとで研修を受け、魔法士免許を取得しなくてはならないのです。
以下ネタバレあり。
原作:山田典枝
放送局(地上波):テレビ朝日系
総合評価:★★☆☆☆
《魔法が幻想ではなく当たり前に存在する世界》
2003年に放送されていた同名シリーズのテレビアニメ第二シリーズ。北海道の美瑛から、魔法士免許を取得するための研修を受けるために、東京の下北沢に上京してきた16歳の少女 鈴木ソラ(CV:花澤香菜)が、研修での同世代の少年少女たちとのふれあいを通して成長していく様を描いた物語です。
世界観の基本設定は、代々血統として受け継がれる魔法の資質を持った人間が当たり前のように存在しているというもの。その能力は国の機関である魔法局により管理されており、公認魔法士は魔法局を通して伝達される依頼なしには魔法行動を行うことが出来ない、ということになっています。そして、魔法の資質を持った子供は、16歳になると魔法指導員のもとで研修を受け、魔法士免許を取得しなくてはならないのです。
以下ネタバレあり。
《肝心の設定は活かされず》
このように、魔法を軸とした物語であるにもかかわらず、小林治監督の趣味なのか、下北沢の街並みの描写と、ストリートミュージシャンのYASUKO(CV:笹生実久)による歌パートなど、必ずしも本作でやる必然性の無い演出が多く見られました。また、背景には実写を加工したものが使用されていますが、ちょっと癖のあるデザインのキャラクターが、ほとんど静止画の背景の中で動いているのには慣れるまで少々時間がかかりました。
魔法依頼を淡々とソラが解決していた序盤の雰囲気は良く、ソラが魔法の力で悩んでいる人とか困っている人を助けていく過程で成長していくような話なのだろう、と期待していました。しかし、ソラの死に至る不治の病が発覚してからのシナリオは正直言って取って付けたような印象を受けました。原指導員(CV:小山力也)がソラを介抱していた様子を豪太(CV:前野智昭)が変に誤解して家出する描写も無理やりですし、その後の展開も突っ込みどころが多いです。さらに、最終回では、ソラが天国の父親に自分の花嫁姿を見せるべく(正式には依頼が無いのに)魔法行動を行い、その後ひっそりと息を引き取るという、これまた取って付けたような展開。しかも、ソラが息を引き取るシーンは眠っているのか亡くなっているのか判断しにくいほどあっさりとしており、筆者もよく分かりませんでした。あれだけ煽っていたのだから、もっとしっかりと描写してほしかったものです。
まぁ、「H2O」や「D.C.II S.S.」みたいに安易にソラが助かっちゃう展開だったらそれこそ星をもう一つ減らしていたかもしれませんが。
《まとめ》
端的にまとめるならば、演出が作品の世界観にまるであっていないというのと、その余計な演出に尺を取りすぎて、魔法士の社会的地位だとか、魔法能力の詳細とか、肝心なところの説明が一切されていないため作品世界に視聴者が入っていけない、というのに尽きます。こういうSFは、世界観の解説には1話ぐらい割いてもいいはずで、座学も研修にはあったのですから、授業風景にもっと尺を取って研修生だけでなく視聴者にも設定を叩き込んでいればもっと面白くなっていたともいます。それがあれば卒業試験のシーンももっと活きてくるはずですし。
原案となったのは、実写映画用の脚本だったといいますから、せいぜい2時間程度の作品を想定して作られたものを連続アニメのフォーマットに落とし込むというのは、そんなに簡単なことではないのかもしれません。
《余談ながら》
この作品は2008年12月20日に、山下リオ主演の実写映画として公開されることが決定しています。筆者に鑑賞する予定はありませんが…。
このように、魔法を軸とした物語であるにもかかわらず、小林治監督の趣味なのか、下北沢の街並みの描写と、ストリートミュージシャンのYASUKO(CV:笹生実久)による歌パートなど、必ずしも本作でやる必然性の無い演出が多く見られました。また、背景には実写を加工したものが使用されていますが、ちょっと癖のあるデザインのキャラクターが、ほとんど静止画の背景の中で動いているのには慣れるまで少々時間がかかりました。
魔法依頼を淡々とソラが解決していた序盤の雰囲気は良く、ソラが魔法の力で悩んでいる人とか困っている人を助けていく過程で成長していくような話なのだろう、と期待していました。しかし、ソラの死に至る不治の病が発覚してからのシナリオは正直言って取って付けたような印象を受けました。原指導員(CV:小山力也)がソラを介抱していた様子を豪太(CV:前野智昭)が変に誤解して家出する描写も無理やりですし、その後の展開も突っ込みどころが多いです。さらに、最終回では、ソラが天国の父親に自分の花嫁姿を見せるべく(正式には依頼が無いのに)魔法行動を行い、その後ひっそりと息を引き取るという、これまた取って付けたような展開。しかも、ソラが息を引き取るシーンは眠っているのか亡くなっているのか判断しにくいほどあっさりとしており、筆者もよく分かりませんでした。あれだけ煽っていたのだから、もっとしっかりと描写してほしかったものです。
まぁ、「H2O」や「D.C.II S.S.」みたいに安易にソラが助かっちゃう展開だったらそれこそ星をもう一つ減らしていたかもしれませんが。
《まとめ》
端的にまとめるならば、演出が作品の世界観にまるであっていないというのと、その余計な演出に尺を取りすぎて、魔法士の社会的地位だとか、魔法能力の詳細とか、肝心なところの説明が一切されていないため作品世界に視聴者が入っていけない、というのに尽きます。こういうSFは、世界観の解説には1話ぐらい割いてもいいはずで、座学も研修にはあったのですから、授業風景にもっと尺を取って研修生だけでなく視聴者にも設定を叩き込んでいればもっと面白くなっていたともいます。それがあれば卒業試験のシーンももっと活きてくるはずですし。
原案となったのは、実写映画用の脚本だったといいますから、せいぜい2時間程度の作品を想定して作られたものを連続アニメのフォーマットに落とし込むというのは、そんなに簡単なことではないのかもしれません。
《余談ながら》
この作品は2008年12月20日に、山下リオ主演の実写映画として公開されることが決定しています。筆者に鑑賞する予定はありませんが…。
