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6ドア車考察




猫麻呂☆さんがtwitter上でこんな発言をされていたので、ふと思い立った考察を記事にまとめてみようと思います。

6ドア車は、今ではすっかりおなじみの車両になりました。現在6ドア車を連結している東京の路線は、中央・総武線各駅停車(10両編成の5号車)、横浜線(8両編成の2号車)、埼京線(10両編成の2・3号車)、東急田園都市線およびその直通先(10両編成の4・5・8号車)。また、東京メトロ日比谷線およびその直通先では18m5ドア車が8両編成のうち1・2・6・8号車に連結されています。このように、6ドア車は、非常に混雑の激しい区間に導入されるもので、編成全体の着席定員を削ってでも車内空間を広くとり、乗降時間を短くすることを目的としています。

その一方で、かつて6ドア車を連結していましたが現在は廃止されている路線に山手線と京浜東北線があります。この二路線も混雑が激しい区間ですが、ホームドアの導入に関連して姿を消すことになりました(京浜東北線は厳密にいうともう少し違う理由が絡みますがそれは後述)。加えて京王線でも5ドア車が走っていた時期がありましたが、4ドア化されたり支線区に転属になったりと、本線で使用された時期は短いです。また、つい最近埼京線と横浜線にE233系が投入されることが発表されましたが、ここでも6ドア車に関する言及がなく、廃止されるのではないか、と予想している人が多いです。

実のところ、6ドア車は、開発当初はちゃんとしたサービス向上だったのですが、後の方になると必ずしもサービス向上とは言えない運用がなされており、現在のような賛否両論を生む羽目になったのです。そこでこの記事では、6ドア車の歴史を概説しつつ、各路線の事情をそれぞれ論じながら、今後の6ドア車をめぐる展開を予想しようと思います。

《もともとは「増結」であった6ドア車》

6ドア車は、1991年に山手線が11両化された際、最も混雑の激しかった10号車に新たに組み込む付随車を6ドアにしたのが始まりです(厳密にいうと10両時代に試験投入された1990年からの一年間がありますが)。つまり、この時は編成全体の座席数は減少するどころかむしろ増加し、平均乗車時間の短い山手線ではむしろ歓迎される流れだったのです。同じく1994年の横浜線での導入も、編成が7両編成から8両編成へ増強されることとなり、山手線と同じパターンです。

ところが、1996年から1997年にかけての京浜東北線での導入は事情が異なり、既存の付随車を6ドア車に差し替えての導入となりました。これは編成全体での座席数が減少しているため、着席という観点ではサービスの低下といえます。2000年からの中央・総武線各駅停車での導入も同じパターンになります。このパターンは、山手線、横浜線での成功を踏まえて、着席サービスの水準を低下させてでも乗降時間を短縮し、定時性を高めようとした結果と言えます。

2001年から2002年にかけての埼京線での導入も同じく付随車の差し替えですが、埼京線ではさらに事情が異なっています。これは山手線の205系を他の路線に転属させる際、先頭車が大幅に不足するため付随車を改造することで先頭車を製造することになり、付随車が1両も無駄にできなくなった結果、山手線の6ドア車を埼京線の4ドア車と差し替え、必要数を確保したという経緯があります。

《6ドア車以外の混雑緩和策》

このように、乗降時間の短縮と編成の増強の二つの目的を持って登場した6ドア車が、いつの間にか乗降時間の短縮のみを狙って導入されるようになった結果、猫麻呂☆さんのツイートのような意見が出てきてしまうようになりました。その最たる例が東急田園都市線の東急5000系の例で、最初は1両だったものが2両、3両と増えていきました。3両というのは、編成中の付随車を全て6ドア車にするというもはや暴挙とも言うべき編成で、そこまでしても朝のラッシュ時は半蔵門線が慢性的に遅延する、という何とも悲惨な状況になっています。

このように、6ドア車を連結する、というのは焼け石に水とでも言うべきか、抜本的対策ではないのです。
それにJR東日本も気付いたのでしょう。近年は6ドア車以外の混雑緩和策をとるようになりました。京浜東北線は車体幅の広いE233系の導入により混雑の緩和が期待でき、将来的には東北縦貫線が開業して上野〜東京間の混雑が低下することから6ドア車を廃止しました。山手線ではホームドアの導入が6ドア車の廃止の理由とされていますが、実際のところ幅の広い車体を持つE231系500番台の導入や、湘南新宿ラインと東京メトロ副都心線の整備による混雑緩和があったからこそオール4扉化とホームドアの導入に踏み切れたというのが正しいのではないでしょうか。また、デジタルATCの導入に伴い、さらなる増発が可能になったことも6ドア車がなくなる理由と言えそうです。

同じく横浜線と埼京線でも、E233系の導入により車体幅が広くなることから6ドア車が不要になるものと思われます。実際、編成での定員はどちらも100名ほど増加します。埼京線では保安装置をATC-6という旧型のものから、ATACSという移動閉塞型の新型保安装置(現在仙石線で試験運用中)に交換するため、相当数の増発が可能になると思われますし、E233系に統一することで最高速度を並行する新幹線と同じ110 km/hに引き上げることも可能と思われます。横浜線については車体幅が広がる高価だけで十分でしょう。

ただ、だからといって東急の策が愚かであるというわけではありません。東急の場合、車両限界の関係から、JRと同じ車体幅の広い車両は使用できませんし、渋谷駅の改良が事実上不可能なので、もはや6ドア車に頼るしかない状況なのです。これは日比谷線や、ワイドドアを導入している東西線でも同じことが言えます。

まとめると、多扉車を導入することによる効果は、それ単体ではさほど大きいものではなく、線増や駅構内の改良、車両の拡幅といったような他の対策が講じれるのであれば、好ましい手段ではないといえます。

《6ドア車の今後》

埼京線と横浜線では、前項でも述べたとおり廃止される可能性が高いと思います。実は6ドア車は、ドアの数が多い分ドアエンジンという駆動部品も多くなり、冷暖房もほかの車両より高性能な特殊品を搭載している関係で、メンテナンスにかかる手間も大きいものと考えられます。今後の新規導入はJRでは考えにくいです。

中央・総武線各駅停車に関しては、西船橋から先、三鷹方面へ向かう朝ラッシュの列車ではかなりの混雑となりますが、その混雑も御茶ノ水までで、その先はかなり空いています。このことからも、6ドア車は廃止になる可能性が高いと思います。かねてから、山手線への新車投入がうわさされており(10号車がE233系仕様になっているのは、この新型車投入を見越してのこと)、それによりねん出されたE231系500番台が中央・総武線各駅停車に投入され、それにともない6ドア車が廃止されるというのが私の予想です。E231系500番台は既存の0番台より起動加速度が高いため、それによる増発が見込めるほか、もしかするとこれに合わせてデジタルATCの導入なんかも行うんじゃないかとも考えられます。まあ、ここまでいっちゃうともはや妄想のレベルですが…w。


《まとめ》

●6ドア車は、かつては編成両数の増強と同時に大幅な定員増を図るために導入されたものであった。

●しかし、後に既存の4ドア車を差し替えてまで導入する例が登場し、着席サービスの低下につながった。

●地下鉄のように設備増強の幅が限られる路線の場合は有効な手段と言えるが、地上路線ではできる限り他の方法で混雑緩和を図ることが望ましいと考えられ、実際にJR東日本ではそのような傾向にある。

本稿の論旨を箇条書きでまとめると以上の通りです。

マイナスイメージが目立つようになってきた6ドア車ですが(特に田園都市線の例はあまりにもえげつないので、鉄道ファンの間でもあまりよく思われていない)、山手線で登場したばかりのころはちゃんと時代に即した素晴らしい施策だったんですよー、ということをわかっていただければ幸いです。通勤電車の歴史を語る上では、6ドア車は避けて通れない重要な車両なのです。

注意事項:埼京線向け、および横浜線向けのE233系の詳細な仕様は未だ発表されておらず、筆者の予想によるものです。ましてや山手線への新車投入とそれにかかわる転配については公式発表すらされておりません。これらに関してJR東日本様への問い合わせは固く禁じさせていただきます。

at 20:29, Long, 鉄道(総合)

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comment
猫麻呂☆, 2012/04/25 10:49 PM

私のツイートを拾って考察をありがとうございます。


確かに登場当初山手線に連結された時は、混雑緩和に役立つかと思えましたが、山手線のように平均乗車時間が短い路線ならともかく、30分も乗るかと思うと正直しんどいですね。


6扉車には当初は効果もあったと思いますが、幅広い車体を導入したE231系以降の車両では効果が薄いように感じます。


先頃、埼京線にもいよいよ待ちに待った新車E233系が導入されるというプレスリリースがありましたが、願わくばこれを機に4扉車に戻って欲しいです。

Long, 2012/04/26 11:07 PM

猫麻呂☆さん、コメントありがとうございます。

おっしゃる通りで、京浜東北線や埼京線のような郊外路線の性格を持つ路線で6ドア車はちょっとしんどいですよね。埼京線の場合は設備上これ以上の編成増強が困難なため、仮の措置としてはやむを得ない節もあったかと思いますが…。E233系がどのような仕様で登場するか楽しみですね。

駆け込み, 2016/08/13 2:05 AM

はじめまして。20m3ドア車が主体だった埼玉の西武鉄道沿線在住の者です。6ドアなどの多扉車や小田急、営団のワイドドア車を全駅に停車し、通しで乗る人が少ない普通に導入すれば効果絶大ですが、多扉などが悪評タラタラなのは、長距離かつ長時間乗車の優等列車にばかり導入している例が多く、整列乗車を乱す(席がほぼ無い6扉車から乗車して、少しでも座れるチャンスがある4扉車の席に割り込んで座ること)や遠隔地では運転本数が少ないため、ドアが多いと「走れば乗れる」という心理的なことが余計に働くためか駆け込み乗車を増やす原因にもなっていると思います。現に私が在住している西武鉄道でも特にブクロ線で4ドアの新2000系や6000系が導入され、特に優等列車で使われると3ドアの101系の優等列車に比べて「駆け込み乗車は危険ですから、やめて下さい!!」という駅員の超説教めいたアナウンスが流れまくります。つまり、多扉車やワイドドア車は都心部で比較的空いている列車つまり、ラッシュアワーでも集中率の低い各駅に停車する普通にしか効果が無いということになります。各駅停車専用に特化している阪神本線のジェットカーこと青胴車と同じ性能で多扉車またはワイドドア車というのが最強の各停専用車になります。

なのしさん, 2016/11/23 5:21 PM

JRと比べ何故か都内での地下鉄に多い、「中程に詰めない人々」対策のために
6ドア車両の増加が一番効果があると
思うのですが、もう6ドアは増えないと知り失望しています。
着座よりも、構造的に「中程」をなくすことで混雑の緩和を図った貰いたいものです。










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